初めての社会経験から学んだこと|私の経歴(第2回)
新たなスタートのきっかけ
彼女との別れをきっかけに、「もっといろいろなことに挑戦しよう」という思いが芽生えました。長年続いた不安定な関係から解放され、将来を見据えたときに「安定した職に就く必要がある」と強く感じるようになったのです。ちょうどその頃、政府が若年層向けに提供していた「トライアル雇用」の制度により、6か月間の契約社員として働く機会が巡ってきました。期間は短かったものの、この経験が次の契約社員としての仕事につながり、「職歴を積む」という初めての一歩を踏み出すことができました。
契約社員と解雇
「トライアル雇用」が終わり、今後の進路について悩んでいたときに、Googleストリートビューの仕事を派遣会社から紹介されました。この仕事は、収入を得るだけでなく、履歴書に記載できる職歴を積む良い機会にもなりました。ただし、職場は契約更新の不安定さから、社員間に緊張感があり競争的な雰囲気が漂っていました。それでも、1年以上の実務経験は自分にとって大きな社会経験となり、仕事への自信もつけられました。
そんな折、ある日突然、スピード違反が原因で契約が解除される事態に直面しました。「解雇」という現実に戸惑いを感じた一方で、「今度こそ正社員として安定した道を歩むべきだ」という思いがさらに強まりました。また、「職歴だけでなく、キャリアを支えるためには資格も必要だ」という認識が一層深まりました。
訓練校での資格取得とキャリア意識の変化
解雇後、失業保険を利用して訓練校に入学し、将来に役立つ資格の取得を目指すことを決意しました。目標としたのは「第二種電気工事士」の資格です。選んだ理由には、次の三つの考えがありました。
まず、「電気工事は社会インフラの一部であり、今後もなくならない仕事」である点です。電気は生活の基盤を支えるもので、安定した需要が見込めます。この分野でのスキルが将来の安定につながると確信しました。
次に、「取得が比較的容易でありながら、実務でも評価が高い資格」である点も魅力でした。第二種電気工事士は、取得の難易度がそれほど高くない一方で、現場での評価も高く、キャリアに役立つ資格だとわかりました。
さらに、「訓練校のプログラムを修了すれば資格が得られる」という安心感も大きな後押しでした。訓練校での学びを通じて実践的なスキルを磨き、確実に資格を取得できるため、挑戦を決意したのです。
当初は「修了すれば資格がもらえるだろう」という軽い気持ちでしたが、実際の訓練では配線作業や機器設置といった実践的なスキルが求められ、その厳しさに驚かされました。講師の真剣な指導に触れる中で「ここで本気で努力しなければ、次はない」という強い危機感が芽生え、働く上での意識が大きく変わりました。この気持ちの変化を受け、さらに上位の「第一種電気工事士」にも挑戦する決意を固め、学科試験に2か月、実技試験に1か月と粘り強く勉強を重ねました。訓練校での時間は、自分の甘さを見直し、働く上での意識を高める貴重な経験となりました。
電気工事会社との出会いと採用
訓練校の修了日が近づく中で、就職活動の話題が増え、同期たちも次第に自分の進路を模索し始めました。訓練校から紹介される求人は一人親方の小規模な会社が多く、年間休日が少なく残業時間が多い条件が一般的でした。多くの同期がこうした条件を受け入れざるを得ないと考える中、私は自身の理想に近い条件を求め、独自に求人を探し続けました。
そんな中で、自社ビルを持ち福利厚生が整った電気工事会社の求人を見つけ、年間休日も120日と「理想に近い環境かもしれない」と感じました。ただ、訓練校の教員や同期からは「そんな良い条件の会社に採用されるのは難しいだろう」と言われ、不安な気持ちもありました。それでも、これまでの訓練経験と取得した資格を信じ、思い切って面接に挑んだ結果、なんとか採用を勝ち取ることができました。この会社との出会いはキャリアを築く上での大きな転機となり、不安定な立場から脱却するための一歩となりました。
教訓とポイント
契約社員としての初職歴と限界
- 【教訓】 契約社員での初職歴は、社会経験と収入の面でプラスになったが、契約終了のリスクや不安定さを痛感し、長期的なキャリア基盤には結びつかなかった。
- 【反省】 契約社員で得た自信もあるが、雇用継続の保証がないため、安定したキャリアには正社員としてのポジションが不可欠だと実感した。また、安定した職歴に加え、資格取得の価値にも気づかされた。
解雇経験と資格の重要性の再認識
- 【教訓】 スピード違反による解雇経験から、職歴のみでは安定には不十分であり、資格が長期的なキャリアの土台を支えると認識した。
- 【反省】 予期せぬ解雇に備え、職歴だけでなく資格を取得することで、将来的なキャリアの選択肢を増やす必要があると理解した。
資格取得に対する計画性と目的意識の重要性
- 【失敗】 「修了すれば資格がもらえる」という安易な考えで臨んだため、計画性や目的意識が不足し、学習や実技対策が十分でなかった。
- 【反省】 資格取得は単に資格を得るだけでなく、実務での活用を見据えた計画と目的意識が欠かせないと学んだ。また、生活インフラ分野の資格では実務に直結するスキル習得が特に重要だと感じた。
今回記事のアクションプラン
契約社員(アルバイト)時に基礎スキルを身につけ、将来の準備を進める
PCスキル(ExcelやWordの基礎)を習得する
- オフィス業務で求められるPCスキルを学ぶため、YouTubeやUdemyなどの無料・低価格なオンライン講座を活用します。また、Googleの提供する「Google スプレッドシート」など、無料のツールで学び、実務に応用します。特にExcelではデータ管理、Wordでは文書作成の基本操作を押さえておきます。
- 実践例:
- Excel:データの集計や簡単な表計算で業務効率を上げる。関数(SUM、AVERAGE)を活用して、売上データや在庫管理などの数値分析を行う。
- Word:報告書や会議資料をわかりやすくまとめ、簡潔な文書作成で情報を正確に伝える。
- 進捗確認:毎週、実務で学んだ内容を実際に活用した部分を振り返り、理解が浅い部分を復習。
ビジネスマナーと対人コミュニケーションの基礎を学ぶ
- 職場での基本マナーやコミュニケーション力を養うために、ビジネスマナーの書籍や短期オンライン講座(例:社会人基礎力講座)を利用します。また、実際の職場でのやり取りで学んだことを実践し、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)などの基本スキルを磨きます。
- 実践例:
- メール作成:敬語の使い方や文書の構成を意識して、分かりやすいメールを作成。上司への報告や同僚とのやり取りで信頼関係を築く。
- コミュニケーション:職場での簡潔なやり取りを通じて、相手の立場を考慮しながら、明確で素早い対応を心がける。
- 進捗確認:毎日、職場でのやり取りを振り返り、改善点を見つける。
契約社員時に未経験でも挑戦しやすい資格を取得
就職に役立つ汎用的な資格を選択
- 資格の学習にはオンライン講座、書籍、過去問題集を活用します。まず短期間で取得できる資格から始め、実務にも応用しやすいスキルを増やします。
- おすすめ資格例と実践例:
- MOS(Microsoft Office Specialist):PC操作スキルを証明し、ExcelやWordの効率的な使い方をマスター。データ処理や文書管理を自信を持って行えるようになる。
- 日商簿記検定(3級):会計の基礎知識を学ぶことで、経費管理や売上の簡単な把握ができ、経理・事務職での実務に役立つ。
- ITパスポート:ITリテラシーを高め、基本的なIT知識やセキュリティを意識して安全な業務環境を維持する。
- 進捗確認:月に一度、学習進度を確認し、計画通りに進んでいない場合は学習時間を調整。
退職後、幅広い学習リソースを活用してスキルアップ
職業訓練校やオンライン講座でのスキルアップ(6か月~1年以内)
- 失業保険や給付金制度を利用し、職業訓練校に通うか、オンライン講座で体系的にスキルアップを図ります。職業訓練校ではPCスキルや会計の基礎、オンライン講座では業界の最新スキルもカバーできます。
- 実践例:オンライン講座や訓練校で学んだ知識を業務で活かし、資料作成の効率化やデータ管理の精度向上を目指す。
- 進捗確認:3か月ごとに学習内容の進捗を確認し、理解が不十分な箇所を補強。
自己分析とキャリア目標の整理
- 訓練期間中に自己分析を行い、今後のキャリア目標に合ったスキルを選定します。資格取得だけでなく実務での応用力も養うため、未経験の分野でもアピールできる強みを育てます。
- 進捗確認:定期的なセルフチェックを行い、自分の目標と進度を確認。
求人探しと応募活動
求人情報を幅広く集める(1~3か月)
- 職業訓練やオンライン講座の受講期間中、もしくは終了後に、求人サイトや転職エージェント、ハローワークで求人情報を収集します。未経験歓迎の求人や、習得したスキルが活かせる職種を探し、応募先を絞り込みます。
- 進捗確認:毎週、応募数や反応を振り返り、応募の方向性を柔軟に見直します。
希望条件を設定し、求人の選定基準を明確にする
- 職種、勤務地、勤務形態などの希望条件を整理し、条件に合う求人に絞って応募します。取得した資格やスキルが役立つことを意識しながら求人を選ぶことで、面接時にも説得力を持って話せます。
- 進捗確認:応募した求人内容と希望条件が一致しているかを週ごとに確認。
面接対策と応募書類の作成
資格やスキルを活かした面接対策(1か月前から)
- 取得した資格やスキルが、実務にどのように役立つかを具体的に伝えられるよう準備します。たとえば「Excelスキルを活かしてデータ管理ができる」「ビジネスマナーを活かして顧客対応に自信がある」といったアピールポイントを整理します。
- 進捗確認:面接のたびにフィードバックを見直し、次回の改善点を見つけます。
職務経歴書や自己PRをブラッシュアップ(随時更新)
- 職務経歴書や自己PRに、取得した資格や学んだスキルの成果を反映させます。未経験分野でも、学んだ知識やスキルを通じてどのように業務に貢献できるかをアピールし、応募先ごとに調整して書類を仕上げます。
- 進捗確認:書類内容を毎週見直し、必要に応じてアピールポイントを最適化します。